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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第20章 二人の罪・・・そして罰
『マリア・・・それでさ』




マリアがやっとつかまった
それに安堵する


それはそうだけど


俺は、昨晩
あれだけ話そうと思ってた


マリアとちゃんと
落ち着いて、冷静にと思ってた
話の数々が


まったくと言って良いくらい
出てこなかった





なんでって言ったら・・・それは



一番は



あの夢・・・







たかが夢・・・



馬鹿馬鹿しい・・・夢って感じの夢・・・





なのに








あの夢は俺に


マリアからの

マリアの内に秘められたままだった

あらゆる事実や現実・・・





平行線だった俺らの話を

終結させてくれるような




メッセージだらけの

夢だった気がしてたんだ








なぜ…自分に愛情をもたない夫が
自分を手離そうとしないのか



あの問いと…その答え
おぞましくて、恐ろしいものだった





俺の目の前で捕らえられ

鳥かごに入れられたマリアが

揺られてどんどんはなれていく




それを見ているだけの俺・・・

動けない俺・・・





足掻いてもがいて
わめき散らす俺を


声をあげるな、身を潜めろ…と
止める鳥かごの中のマリア







あれは…

マリアの言うところの〃最悪〃が
起こったら

こうなるぞ



そんな・・・悪夢にのせたメッセージ







どんなに足掻いても
俺には何も出来ない

助けたくても
どれだけ気持ちがつよくても

気持ちだけは前に出ても
実際には手も足も出ない



マリアに手が届かない

マリアも俺に手が届かない



お互いに・・・救うことは出来ない






かごの持ち主に俺が見つからないように
身を潜めろと促すマリア・・・



もし現実に起これば
マリアは、こうするぞ…と


暗示するような
かごの中のマリア





どこか遠く・・・たとえ地獄でも
連れていかれるマリアを
ただ見てるしか出来ない


それが・・・俺・・・








あまりに非現実で

あまりに現実的過ぎた夢・・・








だからだろうか俺は


俺は・・・いつの間にか


別れを受け入れる


そんな心構えで


マリアと話していたように思う
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