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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第20章 二人の罪・・・そして罰

『・・・』
なぜだろう・・・
俺は…たった今やめたばかりの癖を
帽子をかぶり治して
来た道を戻っていた
理由・・・?
理由って理由なんかない
気のせいならいいんだ
俺の・・・勘違いなら、それで
そうでないと……困るんだ
『ハァっ…ハァっ…』
いつの間にか
速足が駆け足
どこからともなく湧く
焦燥感が、ついには
オレを全速力で
走らせていた
マリアにあれだけ急かされても
軽くあしらって
むしろ惜しみながら
呑気にゆっくり立ち去ったのに
俺は急いで走って
折り返していた
いや、それは・・・むしろ
マリアがあんなに
俺を急かしたから・・・
『ハァっ…ハァっ…ハァ』
べつになんでもないさ…
念のため…
往生際悪く
マリアに会ったりなんかしない
きっと気のせいだから
それを確めるだけだ
ザッ・・・
マリアのアパートが視界に入る
その場で足を止めた
『ハァハァハァ…っ…、・・・っ』
ボロアパートが見えて
夜の静寂と暗闇の中に
静かに佇む
ドアは全て閉まっていて
ほとんどの家が灯りも消えて
薄暗い外灯がアパートを
ぼんやりと静かに照らしている
・・・はずだった
俺の中では
その景色が、俺をこのまま
引き返させてくれる景色
俺はそれを見届けて
今度こそ帰宅する
そのはずだった
『・・・』
ところが目の前に見えるのは
一戸だけ・・・ドアは開いていて
ボロい階段をかけ上がろうとしては
手すりにつかまって
何やら騒がしい住人・・・
・・・そんな
うそだろう・・・
俺の目の前に広がったのは
想像した中で最も確率が低く
それでいて最も……最悪な
悪夢を・・・思い起こさせる
悪夢が・・・そこに
あの夢が
正夢になるかのような
地獄みたいな景色だった
なぜだろう・・・
俺は…たった今やめたばかりの癖を
帽子をかぶり治して
来た道を戻っていた
理由・・・?
理由って理由なんかない
気のせいならいいんだ
俺の・・・勘違いなら、それで
そうでないと……困るんだ
『ハァっ…ハァっ…』
いつの間にか
速足が駆け足
どこからともなく湧く
焦燥感が、ついには
オレを全速力で
走らせていた
マリアにあれだけ急かされても
軽くあしらって
むしろ惜しみながら
呑気にゆっくり立ち去ったのに
俺は急いで走って
折り返していた
いや、それは・・・むしろ
マリアがあんなに
俺を急かしたから・・・
『ハァっ…ハァっ…ハァ』
べつになんでもないさ…
念のため…
往生際悪く
マリアに会ったりなんかしない
きっと気のせいだから
それを確めるだけだ
ザッ・・・
マリアのアパートが視界に入る
その場で足を止めた
『ハァハァハァ…っ…、・・・っ』
ボロアパートが見えて
夜の静寂と暗闇の中に
静かに佇む
ドアは全て閉まっていて
ほとんどの家が灯りも消えて
薄暗い外灯がアパートを
ぼんやりと静かに照らしている
・・・はずだった
俺の中では
その景色が、俺をこのまま
引き返させてくれる景色
俺はそれを見届けて
今度こそ帰宅する
そのはずだった
『・・・』
ところが目の前に見えるのは
一戸だけ・・・ドアは開いていて
ボロい階段をかけ上がろうとしては
手すりにつかまって
何やら騒がしい住人・・・
・・・そんな
うそだろう・・・
俺の目の前に広がったのは
想像した中で最も確率が低く
それでいて最も……最悪な
悪夢を・・・思い起こさせる
悪夢が・・・そこに
あの夢が
正夢になるかのような
地獄みたいな景色だった

