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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第21章 覚めない悪夢(ゆめ)・・・
『携帯出して…解約するから』


カズキは淡々と…事務手続きのように
次々にマリアに求める



『…家に・・・アパートに置いてきたよ』


『今から取りにいくぞ』




有無を言わせず
カズキはマリアの手を引いて家を出て
エレベーターに乗り込んだ



ギリ・・・っ


〃「逃げるな」〃と言われている
かのごとく

マリアの手が執拗に
強く握られる


〃・・・〃






「あら橘さん?奥さん退院なさったの?」


途中で乗ってきた住人に
話しかけられた



『ぇ・・・』


〃退院・・・?〃





『こんにちは。えぇ、長くなりましたが』




カズキは愛想よく挨拶して答えた



「ほんとねぇ~…だってもう随分…
心配だ心配だと思ってたけど
良かったわねぇ!!安心したわ」


『・・・』


〃…そういう事に…なってたんだ〃






『少し…長い入院でしたが
お陰様で、この通り…全快しましたから

至らない妻ですが
今後とも宜しくしてやって下さい』



「うふふふっ!こちらこそ
相変わらず仲がよろしくて~素敵ねぇ」




手を繋いだままのマリアとカズキをみて
住人が笑顔で答えた

人前では紳士な対応をする夫に加え
周りからは〃仲が良い〃と言われる…

マリアはこれが嫌いだった



「にしても奥さん?そんなに大変な
ご病気したの??もう大丈夫なのよね?!」



いかにも噂好きな主婦…住人は
当然、興味ありげに聞いてくる



『ええ…〃困った病気〃でしたが

完治して、後に引きずるような事もないので

〃今後の心配〃はありません

な?・・・まりあ』





・・・。




自分達にしかわからない
隠れた嫌味のような言い方で

カズキがマリアに向けて
ニヤリと笑う



「あら、そぉお~?大変だったわねぇ
でも良かったわぁ!
また二人で仲良く過ごせるわね♪」



『えぇ、本当に嬉しく思ってます』




「うふふふ…奥さん?
相変わらず素敵な旦那さんで羨ましいわぁ
それじゃぁまたね♪」




『・・・。はい』




やっと声をあげたマリアは
住人に会釈して見送った





『・・・少しは愛想よくしろよな』



エレベーターを降りると
早速カズキにトゲを刺され

車の助手席にのせられ
終始、手を握られてアパートに向かった
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