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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第21章 覚めない悪夢(ゆめ)・・・
『荷物それで全部?』


『…あと、細かいものと少し家具あるけど
それは・・・もう』





カズキはろくに聞かずに
車を出して早々に家に戻った





『それ……何?』



マリアの抱える
木製の棚を見てカズキが聞く


引っ越し当初
家具を新調するゆとりなどなかった

既製品には見えないそれを
カズキがどこか呆れた目で見ていた




『見た目に反して便利なの…

私の・・・部屋なら置いても良いでしょ?』








『お前の部屋?…ないぞ、そんなもの』



『・・・』




『あれは先々〃子供部屋〃にする
前にも言ったろう

〃誰か〃が家出ごっこしたお陰で
丁度キレイに片付いてるからな…』





短い時間で次々と
色々な事が決められていった

そこにマリアの意思は
当然のごとく存在せずに





『部屋が欲しいなら…実家に引っ越すか
うちなら…部屋も多いからな』



『え・・・?…うち……って
お義母さんと…同居するってこと?…』






『お袋一人だし?…部屋は余ってるぞ』


『ま……って、それは』





『あのさ…俺、長男だぜ
それくらい、お前でもわかるだろ?』


『だけど…それは結婚する前から
お義母さん達も、お互いにのびのびなのが
良いから…って』




『…同居は嫌だ、あれは嫌だこれも嫌だ
何も出来ないヤツにかぎってこれだ

お前には人情ってもんがないのか?
身勝手で随分と…冷酷な嫁だよなぁ

〃人の道に外れる事〃を
するだけのことはある…』




『・・・』







『……それから、もうすぐ
親父の三回忌があるから
お袋と一緒に打ち合わせ行ってくれ
俺は仕事で行けないから』




『・・・』





〃先の…一番の目的はそれか

それまでに是が非でも…何があっても
私を無理やり連れ戻す気だったんだ

親戚の集まる法事の席で
嫁がいないなんて…

この人は身内に言えるわけがないから

そういう事だったんだ…〃




『聞いてるのか?』



『カズキ・・・感謝してる』


『?…』



『私を〃許してくれる〃なんて…
思わなかったから』





またも手を握られたままの帰りの車
嫌味や咎めだらけの空間

マリアはそう告げて窓から遠くを見ていた



この男が自分を許す気などない事は
わかっていて
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