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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第23章 逃避行・・・
くる・・・


ようやく、そっと
こちらを振り向くマリア



改めて見ても、とてもじゃないが
本人になんて見えない出で立ち


でも…確かにマリアだった





そして・・・その異様な身なりや
様々な理由に


悲しくも
俺は徐々に納得していくことになる




『なんで・・・わかったの』









〃隠れ蓑(かくれみの)〃・・・



遠く離れた街で
それも知り合いの生活圏でもない
場所で


本人だとわからないくらい
イメージなり姿を変えてしまえば…
中々の隠れ蓑にはなる


知り合いにも誰にも…
一番は旦那に…みつからないため?









でも…だとしても

俺は、どうしてもさ




『マリア・・・お前さ』




俺はどうしても
堪えきれない
怒りみたいな悔しさだったりを
抑えられなくてさ






『何考えてんだよ・・・』





俺が…マリアに
説教じみたことだの
えらそうに

マリアに何か言う資格なんか
どこにもない



こんなことはやめろ…なんて言うなら

それはマリアに

あの旦那の所に戻れと
言っているのと同じだから





だけど・・・





『いくらなんでもなぁ…マリア…!
モノには限度ってもんが・・・
やりようがあんだろうが…?!』






自分の不甲斐なさ…

情けなさを棚に上げて







『10代の…家出娘かよ…っ

んだよ、そのカッコは

イイ歳して…なにやってんだよ…』







悔しさ…悲しさ
いろんな感情をごまかすように

マリアに偉そうに
説教たれてる俺がいた





『ふふっ・・・10代の家出娘か
私…ずっと…コンプレックスだったけど

年齢下に見られるのって色々便利ね
この歳まで知らなかった

もっと早く・・・気づけばよかったな』







どこか皮肉に笑って
マリアが呟いた






『マリア・・・そういう話じゃねぇよ』






『ふふ…じゃぁ、なぁに…~?』







『だから…!…その…もっと他に・・・』








『〃他に〃・・・なに?』





ヒジキまつ毛が
シパッと動いた






『だから…それは』






『…〃安住の地〃のない人間もいる』








俺ごときを黙らせるには
十分すぎる一言だった・・・
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