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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?
矛盾だらけだった俺が

ひとつだけ確かだと思っていたこと




『俺が、それを誓っても

彼女は…幸せになれません』




これにサインして
マリアがちゃんと…幸せになれるなら


マリアがもう…あんなに苦しんで
泣いたり、孤独になったりしないなら


こんなモン…何枚だって
サインしてやる







一度も目を合わせなかった
マリアの方を微かに見た


首もと…首筋に
微かに光るチェーンが見える


それは…俺の首もとにも
ひっそりと隠れている


二人きりでした
俺とマリアの約束







はぁ?…と言うように
首を傾げて呆れる弁護士



わかっている…誰にも通じない事くらい




「それでは篠宮さん
法的措置も辞さない・・・
そう言ったお話になってきますが?」




『はい・・・』







『ユウト!!もう…っ
何を言ってるのよ!?この子は!!

あの…っ、本当に
申し訳ありません…っ

二度とご迷惑をおかけしないよう
しっかりと監督致します!

この度は本当に…』




俺の母が声を震わせながら
俺にものを言わせまいと
必死になっていた






『俺は・・・』







『っ・・・、ユウトっっ・・・!!!』








バシッ・・・っ








『・・・』





ウサギみたいに
目を真っ赤にして震えている母親が

俺の頬を思い切り平手打ちして
息切れしながら俺を見上げていた






母親より・・・ずっと

うんとデカくなって

もはや見上げられている俺・・・






生まれて初めて

母親に・・・殴られた





そんな俺は・・・













『フッ・・・・・・まるでガキだな』








『・・・』




向かいの席で
マリアの背を撫でたりしてたヤツが

ついに体をこちらに向けて
俺に吐き捨てた
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