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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?
カタン・・・



姑の剣幕を横に
マリアはゆっくり立ち上がり

そっと…
テーブルに置かれた誓約書を手に取った





シーン・・・





必然的にマリアに
皆の視線が集まった





カサ・・・





拾い上げた誓約書を見つめ
少しぼんやりとしているマリア







『グスっ・・・ユウト、ほら…あんたも』



俺の母が…少しシワになった
俺側の誓約書をテーブルに

俺の前に置き直して
横にペンを置いた






『まりあさん…早くなさいよ
名前書くだけよ?
あなたでも出来るでしょうに
ほら…ここよ?ここ…わかる?』



なんとも嫌味な…減らず口の姑が
着物の袖から扇子を出しで
血圧の高そうなその体を冷やすように
バサバサと扇いでいる





俺は・・・こいつにサインは出来ない





人の家庭を壊し

家族を裏切り

母親を泣かせて…




そんな俺が…決めたこと





そして・・・二人で決めたこと





俺らに…今さら

人の道を語る資格なんかない



家族を…誰かを

傷つけないために…だなんて


失うことを…恐れる資格なんて


誰かの幸せを…願って

なんて


俺らに語る資格はない






わかっていて・・・決めたこと






俺は・・・こいつにサインはできねぇ






マリアだって・・・同じ気持ちだろ?







カタン・・・






『フゥー・・・』





マリアがため息か深呼吸かわからない
息をつく仕草をして、椅子を後ろに押した







『・・・』







マリアも・・・同じ気持ちでいるだろ?





マリア・・・











バン・・・っ







席を立ったマリアは

そのまま誓約書を平手で叩きつけるように

テーブルに戻した






『・・・』




シーン・・・





ギョッ?!…っとしてるのは

俺を除いては全員か・・・






マリアと俺は・・・同じ気持ちでいる











ドッ・・・カ…っ







・・・?






次の瞬間…マリアは

後ろに下げた椅子に寄りかかるように

ドカっと音を立てて腰をおろした






〃マリア…〃








『あ~~ぁ・・・サイッッテ~~・・・』
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