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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第26章 運命は・・・先着順?

下品なババアを無視して
俺は話を続ける
『終電もない…そんな街で
寒さをしのぐ毛布一枚もない
俺の自宅で暖を取り
幸い彼女は大事には至らずに済みました
彼女に家庭があることは
程なくして…、…翌日に知りました
未成年者の家出や何か犯罪に巻き込まれた
そんな事ではないことにだけ安心して
彼女を…家に帰しましたが…』
…仮面を崩さぬよう
なにやら頭を回転させてる
そんなヤツの様子が
微かに見てとれた
コイツは知らなかったはずだ
俺とマリアが出逢ったきっかけが
自分自身の行いにあったなんて
妻と不倫相手が出逢うきっかけを…
原因を作ったのが…他でもない
自分自身だったなんて
思いもよらなかっただろう
『それがきっかけで…言わば知り合い
でも…俺たちが会うのは
彼女が・・・行き場を無くした時だけ…
寒空の下に一人、放り出された時…
最悪の場合…命を落とすような
受けた恐怖を・・・誰にも言えない時』
ガタ…
「え…?」
女弁護士が…ようやく
起こっている〃事態〃を警戒したような
反応をみせた
『俺しか・・・いなかったんだ』
ザワ・・・ザワ
『俺なんかしか・・・いなかったんだよ』
ザワついたはずの部屋が
何故か静寂を増していく…
『体にも…心にも無数の消えない傷を負って
ひどけりゃ顔にまでアザをつくって
裸足で飛び出してくるようなアイツに
せめて朝まで…安心して眠れる場所を
こっそり泣く場所を…
アイツに作ってやれるやつが
俺なんかしかいなかったんだよ・・・っ』
マリアは…本当に
ひとりぼっちだったんだ
この姑を見ていたってわかる
力になってくれるヤツも
味方でいてくれるヤツもそばにはいない
マリアには・・・誰一人
いたのは揃って
マリアを虐げてきた
他人っていうモンスターだ
自由に外にも出られず
家に閉じ込められて
仕事仲間も友人も
年々いなくなる
そんなマリアは…本当に
本当にずっと
ひとりぼっちだったんだ
たった一人で
出口の見えない暗闇と
闘っていたんだ
俺は話を続ける
『終電もない…そんな街で
寒さをしのぐ毛布一枚もない
俺の自宅で暖を取り
幸い彼女は大事には至らずに済みました
彼女に家庭があることは
程なくして…、…翌日に知りました
未成年者の家出や何か犯罪に巻き込まれた
そんな事ではないことにだけ安心して
彼女を…家に帰しましたが…』
…仮面を崩さぬよう
なにやら頭を回転させてる
そんなヤツの様子が
微かに見てとれた
コイツは知らなかったはずだ
俺とマリアが出逢ったきっかけが
自分自身の行いにあったなんて
妻と不倫相手が出逢うきっかけを…
原因を作ったのが…他でもない
自分自身だったなんて
思いもよらなかっただろう
『それがきっかけで…言わば知り合い
でも…俺たちが会うのは
彼女が・・・行き場を無くした時だけ…
寒空の下に一人、放り出された時…
最悪の場合…命を落とすような
受けた恐怖を・・・誰にも言えない時』
ガタ…
「え…?」
女弁護士が…ようやく
起こっている〃事態〃を警戒したような
反応をみせた
『俺しか・・・いなかったんだ』
ザワ・・・ザワ
『俺なんかしか・・・いなかったんだよ』
ザワついたはずの部屋が
何故か静寂を増していく…
『体にも…心にも無数の消えない傷を負って
ひどけりゃ顔にまでアザをつくって
裸足で飛び出してくるようなアイツに
せめて朝まで…安心して眠れる場所を
こっそり泣く場所を…
アイツに作ってやれるやつが
俺なんかしかいなかったんだよ・・・っ』
マリアは…本当に
ひとりぼっちだったんだ
この姑を見ていたってわかる
力になってくれるヤツも
味方でいてくれるヤツもそばにはいない
マリアには・・・誰一人
いたのは揃って
マリアを虐げてきた
他人っていうモンスターだ
自由に外にも出られず
家に閉じ込められて
仕事仲間も友人も
年々いなくなる
そんなマリアは…本当に
本当にずっと
ひとりぼっちだったんだ
たった一人で
出口の見えない暗闇と
闘っていたんだ

