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第26章 運命は・・・先着順？

『彼女は…問い詰めても中々自分からは
話してはくれませんでした

誰が見たってわかること・・・なのに

いつも生々しい傷を
こっそりと隠して

…なんの因果か…故意か偶然…
運命のイタズラなのか・・・

俺なんかに…逢ってしまった彼女が

結婚して…旦那がいて
いつかは、子どもにも恵まれて

そんな…幸せに満ち足りた人生を送る
どこにでもいる

普通の主婦だったはずの彼女が・・・

どこの誰か…得体の知れない男に
俺なんかにしか
助けを求められなかったのは・・・』








ダン・・・っ






『いい加減にしろ・・・！
なんのマネだっ！！』




テーブルを叩いて
ヤツがついに声をあげた

反論のプランが整ったのだろうか？





『少しはマトモな言い訳でもするのかと
黙って聞いていれば！！
訳のわからない妄想を並べて
なんのつもりだお前！？狂ったのかっ！？』





『そっ、そうよ、そうよっ！！！
あんたっ…それじゃあまるでっ
まるで…カズキが・・・っ』









『・・・』



それじゃぁ、まるで？カズキがぁ？




だと？







〃まるで〃…じゃなくてな


〃そう〃なんだっつーの…


〃そのまんま〃…







〃有り得ない〃が前提の
このババアの言葉




夢にも思わないんだろうな・・・

〃完璧な息子〃である

自分の分身の正体を







お気楽なモンだ…この母親




お気楽で…幸せなモンだ


哀れなくらいに・・・






俺の母親に、面と向かって散々に
「生んだらまともに育てろ」
「どんな育て方をしたんだ」
と豪語していたが



そう言った自分こそが
そんな罵声や咎めを受けるに
最も値する母親である事を
知らねぇんだからな・・・








『それにあんたっ！今自分で言ったじゃない！

うちの嫁だって…
人様の嫁だって知ってたって…！

それで関係持ったんだから、あんたは！
それを…訳のわからない妄想述べて！

カズキのせいにしようっていうのっ？！
どこまで非常識で性根が腐ってるのかしら！

元はと言えばあんたが不倫したのよ！？
何も言い逃れなんかできないわよっ！？』




『・・・』