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第26章 運命は・・・先着順？

人様の嫁だと知っていた…

不倫した…



そうだぜ



そこに…なんの異論もない



なんの言い訳も

するつもりなんかない




もはや一人劇場のように
先方の母親は暴走が止まらない




『どんな屁理屈を並べても
あんたの言い訳なんか通らないわ！！

挙げ句にこちらのせいにしようなんてっ
お門違いも良いところよ！

どこまで人の道に反れたら気が済むの！？
あんたわかってるの！？カズキはねぇ…っ』






怒りが収まらないだけなのか
このババアなりに・・・失敬

この母親なりに
自分の息子を守ろうと必死なのか…








『カズキは・・・っ、〃被害者〃なのよ！？』







『・・・』







俺は・・・俺のしたことに


俺とマリアのしたことに


言い訳も…弁解もない


言い逃れしようとも思わない






だけどな・・・俺








自分を…自分たちを〃被害者〃と
豪語している親子が




俺を

「被害者を加害者にして逃れようとしている」

と…心から軽蔑して

憎しみを露にしてるのを見て思ったんだ






俺が

信じてももらえない〃真実〃を

語ることに

意味などなかったかもしれない





だけどな・・・俺

どうにも我慢ならなかったんだ




俺の言うことなんか通らない

誰も信じない

それがわかっていても




マリアの為に…何も出来なくても

助けてやれなくても





そこにある〃真実〃を知ってた俺は

我慢ならなかったんだ





〃マリアという被害者〃を加害者にして

自分が被害者になろうとしている

目の前にいる〃真の加害者〃の存在を

俺は・・・知ってたから








世の中って…本当に狂ってるよな…

本当に悪いヤツは捕まらねぇって？

正直モンはバカを見るって？




どうかしてるぜ






理不尽に咎め立てられて

更には俺までを庇って

一人・・・悪者になろうとしたマリアが





マリアがあまりに

あまりに不憫で




そして…この男が

許せなくて




どうにも我慢ならなかったんだ





もしも…真実を知ったら

この母親は

たった一言でも

マリアに詫びるだろうか・・・って





無駄だったけどな・・・