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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
バタン…



私の持ち物を取り上げると

夫は無言でドアを閉め

部屋から出ていった







殴られなかった・・・


その事だけに一旦は呼吸を整えて

私はマットレスの上に突っ伏した




そして・・・





〃良かった…取られなかった〃





私の日記になってる手帳

これを見られたら大変だった




もうずっと…書いていない日記


これを書かない

それはつまり・・・あの人が

優人が私を守り

幸せにしてくれていた日々





『~~っ・・・』



現実が・・・色濃く自覚させる



〃ゆぅちゃん・・・〃



一人になった部屋で

私は…ハンカチを口に押し当てて

声を殺して泣いた






彼との唯一の写真の入った財布も

夫に取り上げられてしまった

せめて…気付かれないで欲しい




私は…唯一
夫に見つからなかった

胸元に隠れている
彼とのペアリングを、そっと握って泣いた









翌日には

日中は家でしっかりと家事をする事を

暗黙のルールではなく

ダイレクトに夫から命令された




逆に…暗黙のルール、と言うか命令で

外に出ることは禁止




そう醸し出されて

私は…再び家に閉じ込められた







逃げ出す術もなければ

抗う気力も…恐ろしく、不思議なほど

起こらない




ちなみに…自宅の固定電話まで

取り払われていて



実家に助けを求めるつもりでいた

私の望みはことごとく絶たれていた









あれから…唯一

私が外出したのは





あの協議の席だった





何も聞かされずに

黒いスーツを着るように命じられて

連れていかれたあの席…



驚いた・・・ううん

薄々わかっていた



この男が・・・私を

優人を許すはずなどないから






彼の事はおろか

彼の・・・お母さんの姿を見た時は

命を以ても償いきれない



そんな気持ちになっていた




優しい…大切な息子が

まるで犯罪者のような扱いを受ける

彼を、そんな不名誉で汚した憎い女を前に

あのお母さんは…どれ程

やりきれない気持ちでいただろう







償えない罪・・・






私は…甘んじて

罰を受けるべきなんだ





罵声を浴びせられようが

殴られようが
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