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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
ガチャ…
びくんっ・・・
ドアの開く音とで
私の肩は、つり上がるように硬直する
〃今日も…何も起こりませんように〃
わかっていても
恐れている〃その瞬間〃が来ることが
恐い事に変わりはない
顔の筋肉が満足に動かない
愛想笑いも出来ない
私は…恐れている事から逃れる
ただ、それだけのために
夫を怒らせまいと、必死だった
『ただいま…』
『・・・おかえりなさい』
日中・・・ずっと握りしめていた
大切な指輪のついたネックレスを
大急ぎで
部屋の隅に置いていた荷物の中に隠す
ちなみに
取り上げられた財布の中にある写真を
こっそり取り戻そうと探したけれど
私の手の届く所からは見つからなかった
『ごはん…出来てるから』
『あぁ…』
カズキが荷物を放り投げて
うっとおしそうにネクタイを外す
『食べないの…?』
『私は・・・いい』
一日中・・・家に閉じ込められて
ろくに動くこともなければ
元より…食欲なんてない
無愛想にしてるつもりはない
けれど…笑うことなんて出来なかった
人様に言わせたら
とんだ逆ギレ妻だろうか
私は…夫を極力避けていた
故意と言うか
本能的に…
怒らせては…いけない
出来れば…痛い思いはしたくない
どうせ逃げられないのだから
この男を…刺激しては
怒らせてはいけない
『ぉ・・・これ食べたかったんだ
さすがじゃないか、まりあ…』
『・・・』
機嫌良さげに…テーブルのおかずを指して
少し・・・笑う夫
仕事で評価でもされたのだろうか…
こんな状況で…こんな空気で
機嫌の良さそうな夫の姿なんて
かえって不気味、そのものだった
でも…贅沢言ってはいられない
良いじゃない
今夜も殴らないで済むなら
そう思い込もうとする私の
隠しきれない恐怖心は
次第に現実のものとなり
夫は徐々に・・・その牙を
剥き出してくる
制裁(なに)もないはずが
ないんだ・・・
びくんっ・・・
ドアの開く音とで
私の肩は、つり上がるように硬直する
〃今日も…何も起こりませんように〃
わかっていても
恐れている〃その瞬間〃が来ることが
恐い事に変わりはない
顔の筋肉が満足に動かない
愛想笑いも出来ない
私は…恐れている事から逃れる
ただ、それだけのために
夫を怒らせまいと、必死だった
『ただいま…』
『・・・おかえりなさい』
日中・・・ずっと握りしめていた
大切な指輪のついたネックレスを
大急ぎで
部屋の隅に置いていた荷物の中に隠す
ちなみに
取り上げられた財布の中にある写真を
こっそり取り戻そうと探したけれど
私の手の届く所からは見つからなかった
『ごはん…出来てるから』
『あぁ…』
カズキが荷物を放り投げて
うっとおしそうにネクタイを外す
『食べないの…?』
『私は・・・いい』
一日中・・・家に閉じ込められて
ろくに動くこともなければ
元より…食欲なんてない
無愛想にしてるつもりはない
けれど…笑うことなんて出来なかった
人様に言わせたら
とんだ逆ギレ妻だろうか
私は…夫を極力避けていた
故意と言うか
本能的に…
怒らせては…いけない
出来れば…痛い思いはしたくない
どうせ逃げられないのだから
この男を…刺激しては
怒らせてはいけない
『ぉ・・・これ食べたかったんだ
さすがじゃないか、まりあ…』
『・・・』
機嫌良さげに…テーブルのおかずを指して
少し・・・笑う夫
仕事で評価でもされたのだろうか…
こんな状況で…こんな空気で
機嫌の良さそうな夫の姿なんて
かえって不気味、そのものだった
でも…贅沢言ってはいられない
良いじゃない
今夜も殴らないで済むなら
そう思い込もうとする私の
隠しきれない恐怖心は
次第に現実のものとなり
夫は徐々に・・・その牙を
剥き出してくる
制裁(なに)もないはずが
ないんだ・・・