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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
『まりあ…』
空き部屋で
眠りにつこうと思っていた私は
入ってきた夫の姿に再び緊張した
『な……なに…?』
『・・・』
『あ・・・カズキ宛の荷物なら
今朝、届いて・・・書斎に』
『ビール飲みたい…
用意して、書斎に来て』
『・・・』
お酒を飲んで…豹変するような男ではない
(お酒以前に、元より・・・と言う意味で)
だけど…出来るなら
あまり・・・お酒は飲んでほしくない
そんな男でもある
コンコン・・・
言われた通りに
冷たいビールとグラスを持って
寝室の隣…
夫の部屋である書斎をノックする
『ここ・・・置くね』
『・・・』
パソコンの置かれた机に
お盆を置いて
私は…直ぐに部屋を出ようとした
『フフっ・・・たまには酌くらいしろよ
気が利かないなぁ…奥さん?』
『・・・。ごめんなさい』
プシュっ…
缶をあける手が・・・震える
カタカタ・・・
カズキの傾けるグラスに
私が注ごうとするビールの缶が
カツカツと当たって音を立てる
『フフ・・・』
ゴクゴクと喉を鳴らして
カズキがビールを飲み干した
私は…本当は気付いていた
連れ戻されてから、ずっと
一々、動揺したり
怯えるのを隠しきれない私を見て
この男がニヤニヤと笑っているのを
こうして・・・じわりじわりと
追い詰めようとしている
それが…肌でわかっていたからこそ
私は恐かった
『なぁ、まりあ…
今度会社で絵画展をやるんだ』
『ぇ・・・』
『芸術の秋・・・ってね』
そんな・・・ユニークな事をする会社だろうか
私は…びくびくしながらも首を傾げた
『別に強制じゃないんだがな
俺も…気晴らしに絵でも描こうと思うんだ』
この人が…気晴らししたくなる
この所そんな、わずらわし事に
頭を悩ませた事だけは事実であろう
『カズキが…絵を?』
学問には長けている…
だけど…芸術は・・・あまり
のはず…
『あぁ…だから、まりあ…モデルやってよ』
空き部屋で
眠りにつこうと思っていた私は
入ってきた夫の姿に再び緊張した
『な……なに…?』
『・・・』
『あ・・・カズキ宛の荷物なら
今朝、届いて・・・書斎に』
『ビール飲みたい…
用意して、書斎に来て』
『・・・』
お酒を飲んで…豹変するような男ではない
(お酒以前に、元より・・・と言う意味で)
だけど…出来るなら
あまり・・・お酒は飲んでほしくない
そんな男でもある
コンコン・・・
言われた通りに
冷たいビールとグラスを持って
寝室の隣…
夫の部屋である書斎をノックする
『ここ・・・置くね』
『・・・』
パソコンの置かれた机に
お盆を置いて
私は…直ぐに部屋を出ようとした
『フフっ・・・たまには酌くらいしろよ
気が利かないなぁ…奥さん?』
『・・・。ごめんなさい』
プシュっ…
缶をあける手が・・・震える
カタカタ・・・
カズキの傾けるグラスに
私が注ごうとするビールの缶が
カツカツと当たって音を立てる
『フフ・・・』
ゴクゴクと喉を鳴らして
カズキがビールを飲み干した
私は…本当は気付いていた
連れ戻されてから、ずっと
一々、動揺したり
怯えるのを隠しきれない私を見て
この男がニヤニヤと笑っているのを
こうして・・・じわりじわりと
追い詰めようとしている
それが…肌でわかっていたからこそ
私は恐かった
『なぁ、まりあ…
今度会社で絵画展をやるんだ』
『ぇ・・・』
『芸術の秋・・・ってね』
そんな・・・ユニークな事をする会社だろうか
私は…びくびくしながらも首を傾げた
『別に強制じゃないんだがな
俺も…気晴らしに絵でも描こうと思うんだ』
この人が…気晴らししたくなる
この所そんな、わずらわし事に
頭を悩ませた事だけは事実であろう
『カズキが…絵を?』
学問には長けている…
だけど…芸術は・・・あまり
のはず…
『あぁ…だから、まりあ…モデルやってよ』