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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
ピンポーン・・・




ドアの前で解錠を待つ





ガコ・・・





しばらく待つと……その扉は

重々しく開いて


俺の目の前には

弱々しく…重そうにドアを開ける

マリアが立っていた






〃マリア・・・〃




お互いに言葉を発しない



マリアはうつむき加減で
目を右往左往させていた




〃何を考えてるんだ?

なんのつもりだ?〃



なんて



動揺で慌てふためく

薄茶色のクリっとした瞳は

俺に猛抗議しているかのようだった






言いたい事があっても

かけたい言葉や伝えたい言葉があっても

どこからともなく押し寄せる

圧迫感や焦燥感で

お互いに言葉を交わせなかった





そりゃ…そうだ

状況も然り…

いる場所が場所だからな





マリア・・・ひどく動揺して

怯えてる様子さえも見てとれる




誰が見ても…わかるくらい

怯えたウサギみてぇに

体が小刻みに震えていて…






『~~っ・・・』



『・・・』





俺は、他人行儀にマリアに会釈して

玄関に上がる



ヤツの所在を聞いて



そのまま、マリアを

素通りしようと……したんだが








ギュ・・・







震えているマリアを

通り過ぎる、僅か一瞬・・・抱きしめた








パッと見て……マリアが顔や体に

ケガしてる様子はない



あの話し合いの場で

俺が抗議も然りに告発した事が

影響したかどうかは不明だが



少しは…ヤツが

大人しくなることを願っていた…或いは

信じたかった俺は

マリアの姿に…ほんの少しだけ安堵する






『っ・・・!』




場をわきまえない突然の俺の行動

そして、マリアを前にしたその行為に

マリアはビクっと体を震わせた






『・・・』



〃ごめんな・・・マリア〃








マリア・・・また痩せた


つぅか


やつれて見える








ごめんな・・・マリア



不安にさせて

驚かせてばっかでさ





だけどな、俺



やることが・・・あるんだ







俺はマリアを即座にはなして

部屋の奥へと足を進めた
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