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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
カラン…カラン…



音のない空気の中


マリアが
二人分のお茶をのせたトレイを手に
キッチンから出てきた




カチカチ・・・




それを持つ手が…震えている






『どうぞ・・・おかけ下さい・・・』





カチカチ・・・




マリアは、俺と目は合わせずに

腕…指・・・爪の先まで震えた手で

俺をソファに案内した





目の前には、腕組み…足組みで

じっと

マリアを見つめ(監視?)ているダンナ




夫に…恥をかかせてはならない





そんな圧迫感を押し付けられたように

よそよそしく

〃夫の客人〃に対応するマリアの姿に



俺は、ようやく

ソファに腰をおろした


『・・・』









カチカチ・・・カタカタ





マリアが見てられないくらい震えた手で

ソファの間のガラステーブルに

コースターを置き

二人分のグラスを並べる







『・・・どうぞ』







グラスに加え、砂糖やミルク

一通り並べて一歩下がったマリアに

俺はそちらを見ず、無言で会釈した










コツコツ・・・






ヤツが黙って指で
ガラステーブルを軽く叩いた




〃・・・?〃






トコトコ…




マリアは、その合図に反応して

急いで動く




見るとヤツは… … …タバコ加えて

またも、ふんぞり返っている






コトン…





マリアは黙ってテーブルに灰皿を置いた




『・・・』

『~~…っ』




手元のライターに手も伸ばさず

ふんぞり返るヤツに、マリアは





シュッ……シュッ…シュッ






威圧感を拾うように
ライターを手にして

ヤツのくわえるタバコに
火をつける…





なんか・・・すっげぇ白々しい




さっきから、逐一な





亭主関白感…

マリアは自分の所有物です感…



わざわざ見せつけるような

ヤツの行動に言動




でもって…






『フゥ~~……』





『っ・・・、…ケホ…っ』






ためらいもなく…マリアの方に

煙を吐き出していた




おいおい・・・なんてヤツだよ




わかっちゃいたが

どうしようもねぇ男







まるで〃裸の王さま〃だな・・・
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