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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第27章 飛べない鳥・・・
『今日は…本当に、すみません』





『……挨拶はいい、用件を言え

こちらにも都合と言うものがある』





『・・・すみません』











『フン……まぁ、いい

~まりあ…?…ワイン持ってこい』







『ぇ・・・』



はなれて立っていたマリアが

驚いた様子を見せる






『カズキ・・・何を』






『フフッ……辛気臭いのは御免だ』






『カズキ・・・昼間から…そんな』





場に不釣り合いな提案をするヤツを

マリアが控え目になだめようとするが…





『冷やしてなかったか?

クラッカーとチーズも…持ってきて』





聞く耳も持たないヤツは

飽き足らずに

マリアを所有物のように扱い…






マリアは諦めてキッチンに入る








同席させたの結局それかよ・・・







額に…冷や汗を滲ませたマリアが

ワインとグラス…ツマミを運んできた





手が震えて、中々ワインの栓が抜けない

見てられないようなマリアを

ヤツは薄ら笑いを浮かべて見ていた





キュ・・・ポン・・・っ





コルクが抜けた音がして

マリアのもつボトルが

ワイングラスに傾けられる





『あっ・・・』




ヤツがマリアの手から

ボトルを取り上げて

グラスに注ぎ出した






『~折角のワインを

床に飲まされてはたまらんからな…フフ』




手を震わせたマリアに
嫌味を言いながら

真っ赤なワインを注ぐと

そのボトルを…俺のグラスに向けてきた






『自分は・・・結構です』






酒は……楽しい時に飲みやがれ





そんな気持ちを隠して
俺は丁重に断った




コイツの立場になって考えれば
非常識極まりない事してるのは俺の方

酒でも飲まなきゃ
やってらんねぇのかも…知れないがな






『フフフ・・・まぁ、そう言うなよ

わざわざ…正装して来る

〃男同士の話〃でもあるんだろう?』







トクトクトク…






ヤツが、これまた不気味に笑みを浮かべ

俺のグラスにワインを注いだ












それは・・・そうかも


知れねぇな・・・
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