この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
行こうぜ、相棒
第6章 Englishman In New York



「セリフが上手に言えるとかそういうことではなくて、佇(たたず)まいが良いのです」
「たたずまい?」
「その役の人物の気配をまとうことです」
そうなの?、と少し茶化した姉の口調で、エリは妹に聞いた。リエは照れて手を左右に振ってみせた。
「台本を覚えるのは役者の仕事です。そこに感情を込めるのは役者の技術です。でも、何もセリフがない瞬間に、その役を演じきる。これは才能がなければできない芸当です」
「先生、褒めすぎです」リエは顔を赤くして恐縮する。
「それに私、そんな能力あったって、所詮表に出られない職業だし」
その言葉に、先生の目つきが変わる。
「リエくん。そういうことは口に出してはいけないよ」と、静かに告げた。「きみの職業は多くの男性の癒しと活力になる大事なお仕事だ。私はきみがそれにどれだけ誇りを持っているかも知っている。嘘でも自分を貶(おてし)める言い方をしたら、いつのまにかそれが本当のことになってしまうよ」
先生にしては長い言葉を、おだやかに彼は告げた。
「……はい、先生」
リエも素直に先生の言葉を飲み込んだ。
リエのそんな姿を見るのは久しぶりだな、と姉のエリは思う。いつの間にかこの子は、尊敬できる自分の師を持ったのだ、と思った。

「偉そうなことをいっても、私もひとには言えないことをうんとしているのだけれどね」
先生は、そう言って小さく笑った。
「お姉さんにも話したのかな?」と、先生はリエに聞いた。
「その話、今度お酒でも飲みながら聞かせていただけますか?」
と、妹の返事を待たず、エリが答えた。



/145ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ