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ぼでぃ・ぴろぅ
第2章 2
女性の入浴時間はこんなにも長いのか?
3~5分の投稿動画をけっこうな本数見ちゃったぞ。気が付けば6時を回っている。男だから心配はされないが遅くなるって連絡を入れておこう。オレの分の夕飯が無くなったら困る。母さんにメッセージを送ったところで多仲さんが部屋に戻ってきた。
「あっ、ちゃんと待っててくれた」
石鹸の匂いを漂わせた風呂上がりの多仲さんは、非常に失礼なことを言いやがった。あなたが『待ってて』って言ったんでしょうに!風呂入ってる間、勝手に帰っちゃっていいんかい?!
寝付けるように協力しようと親切心を持ったオレに喧嘩売ってんのか?じゃが芋だからってバカにすんなよ!
「帰ります」
荷物を持って、ずり落ちてきた眼鏡を手の甲で上げ直すと、すーっと立ち上がった。オレは心の中では毒を吐くけど、怒りを露わにすることはあまりない。そんなオレが無礼千万な物言いにぶちギレた。
「なんで帰っちゃうの?」
分かってない表情だ。余計に腹が立つ。
「こーいう時は『お待たせしました』って言うんじゃねーの」
氷のような冷たさを伴った低い声が出た。
今までの傍若無人な態度に鬱憤がたまっていた中で、ふたりっきりという境遇がオレを強気にさせてしまったのかもしれない。
ただのクラスメイトの多仲さんに本心をぶつけてしまった。