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ぼでぃ・ぴろぅ
第2章 2
とりあえずスイッチを入れ、金髪の頭上からターボモードの風を降らす。髪を触っていいもんかと一瞬考えたが迷いを捨てて、てっぺんの髪をガシガシ混ぜながら熱風を当てた。
「熱っ!同じとこばっかやらないで!」
モーター音にかき消されない程の音量で怒られた。ドライヤーを離して、長い金髪全体に回しかける。
右にやったり左にやったり、ちょっとした運動じゃね?クーラーが利いているとはいえ、汗が出てくる。
家に呼ばれて、髪を乾かす羽目になるとは……これも不眠症の導眠アイテムとして、やるべき仕事内容なんすかね。
不眠症か…さっきオレはひどい態度をとってしまった。それに対して少ししょぼくれた様子を見せたが、すぐに普段の態度に戻った多仲さんは、物怖じしない性格なんだろう。
そんな彼女が眠れなくなる理由って?
話すって言ってたのに、会話もままならないほど寝支度で忙しい。女性は色々と大変だな。
緩くかかったパーマの仕業で指に絡みついてくる髪は柔らかく、いい匂いが立ち昇る。こーいうことは好きな人にやってあげたいな。綺麗な黒髪を丁寧に梳かしたりなんかしちゃって!じゃが芋だけど、男としてそのくらい夢見たっていいですよね?
「そろそろ、いいですかね?」
スイッチを切って、もじゃもじゃに暴れた金髪を手櫛でおとなしくさせた。
「ん」
おおっと?今までスルーしてきたけど、お礼の言葉を聞いたことが無い。やっぱこの人礼儀を知らないんだ。
「こーいう時は『ありがとう』って言うんですよ」
「知ってる。ありがと」
けっ、可愛くない。