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ぼでぃ・ぴろぅ
第3章 3


オレは祈る。黒髪の君よ、振り向かないでおくれ。

今、振り向かれたら、絶対にやばい方向に誤解されちまうぅぅ。
都合のいいことに、多仲さんは無言で歩いている。ギャルのくせにテンションは低めな人なのだ。

おしゃべりなのは須月さんの方。もし今あの人と一緒だったら…確実に黒髪の君は振り向いているだろう。

黒く艶やかな腰まであるロングヘアーが歩く度にさらりと揺れている。触れたいっ、撫でたいっ、鼻先を埋めたいっぃんっ!

もしも、髪を切る日が来るとしたら、毛束をひと束分けてもらいないだろうか…高級な桐の箱に入れて家宝にするのにぃいいい!

これって、男のロマンですよね?

「岩しげ…どこ行くの?」

多仲さんに呼び止められた。
黒髪の君を夢中で眺めていたせいで、危うく、彼女と同じ様に駅の改札を通り抜けるところだった。

オレたちは駅の向こう側に住んでいる。オレは駅からさらにバス、多仲さんは歩いて10分くらい。

駅前を過ぎ、マンションが建ち並んだ通りを抜けると一軒家が密集した住宅地に入る。小さな庭か、ギリギリに作られた一台分の駐車場の付いた一戸建てばかりだ。

その中の茶色い屋根が多仲さんの家。駐車場は無く、小さな庭がある。庭は手入れがされておらず、雑草が伸び放題。

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