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ぼでぃ・ぴろぅ
第3章 3
部屋に戻ってきた多仲さんの手には、カップ麺。
「塩コーンバターとシーフード、どっちがいい?」
「ん゛ん゛う゛んっ」
黒い猫脚テーブルの前で姿勢を正し、眼鏡をクイッと上げて咳ばらいをした。
驚きのあまり何と答えていいか分からない。いや…どっちがいいかと聞かれたんだから、どっちかを答えればいいわけで…
カップ麺が夕飯かよっ!昼だって菓子パンしか食ってないだろ?女子の体はこんな栄養でいいのだろうか?
「じゃあ、シーフードを」
「ええっ~?アタシもシーフードがよかったなぁ」
はぁ~?だったら、シーフード食えよ!オレにどっちか聞くなよ!面倒な女だなー。
オレの前にシーフードのカップ麺と割り箸が置かれる。すでに湯は注がれていて、3分経ちそう。
「いいですよ、シーフード食ってください」
「どっちも好きだから、どっちでもいいの。後でひと口頂戴?」
………この、ひと口好きめ!
顔に汁を跳ね飛ばし『あちっ』と言いながら麺をほぐす姿がマヌケなアライグマみたいで可愛い。
風呂上がりで、カラコンも外しピンクの化粧も落として、すっぴんだ。
クマが目立って顔色が悪く見える。家族は心配しないんだろうか…?
「お家の人って帰りは遅いんですか?」