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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
『そんな大きな声出さないでください…!』

白い蛍光灯に照らされた大学の教室で、真理子さんの声に周りが反応して僕を見る。

『あなた漫画家になりなさいよッ!?ねッ?』

彼女はニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべてノートをパラパラとめくる。

『僕くらいの画力…いくらでもいますよ…』

僕が机の上で両肘を抱えて小さく言うと彼女は言った。

『そうね、腐る程いるわ』

ムッとした。

『君は女の子を描くのが下手みたいね、ねぇ…これヒロイン?やぁねぇ、下手くそッ』

真理子さんはノートを眺めながらクスクス笑った。

『あなたは失礼な人だな、返してくださいよ!』

僕は彼女からノートを奪い取った。

『あッ……痛ッ』

彼女が長く白い指先を見下ろす、縦に切れて血が丸く出てきた。

『…あ、あの…すみませんッごめんなさい…』

周りから嘲笑がクスクス聞こえる。
僕は顔を真っ赤にしながら立ち上がってその人に頭を下げた。

『んー…許して欲しいわけ?仮にも私、あんたより学年1つ上なんだけど』

に…二年生かよッ!
僕は頭を下げたまま固まった。

『許して欲しいなら、ちょっと放課後私に付き合って?』

『はぁ?』

僕が思わず顔を上げると彼女は指先の傷口を丁寧に舐めていた。
猫みたいだった。
同時にとてつもなくエロく感じた。
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