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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
『ごめん!ノブ、待たせて本当にごめんね。編集さんがやっぱりカラーでって譲らなくて…でも、ほら呪魔子先生いるじゃない?』

『うん…魔子先生ね』

『そ、魔子ちゃんが先月カラーで私巻頭部分だけ軽くカラーだったからさ、魔子ちゃん次は通常印刷だって。私カラーしなきゃなの。実家帰ったらフォローよろしくね』

真理子さんは生き生きとハキハキとそう言った。

真理子さんの言葉の形が針葉樹の葉みたいな形になって僕目掛けて飛び込んでくるみたいだ。

子供の頃、サボテンの針が指に刺さり、泣きわめく僕を思い出した。

母がピンセットで抜いてくれたが、今でも僕はサボテンが苦手だ。

『じゃあ、車出すね』

真理子さんは携帯電話をしまうとハンドルをその華奢で白い指で握った。

ガタガタッと2度3度車体が大きく揺れ、サーフが土煙をあげながら空き地から車道へ滑り込んでいく。

『みんな楽しみにしてるみたいよ』

真理子さんが言った。

『へぇ、なんだか意外だ』

『言っても私長女だからね、そりゃみんな興味津々でしょ』

『女の子ってそうかもしれないね、お父さん何か言ってた?』

『んー…お父さんは別に、あの人淡々としてるし…』

『そうなんだ』

『うん、ノブに似てるよ。あ、そうそう優子が凄く会いたがってたわ』

『優子って…妹の?』

『そ、優子』

真理子さんには今年18歳になる妹がいて、名前は優子というんだ。
名前は聞いた事があったけれど、まさかその本人が僕に興味があるとは驚いた。

『直に夏休みだしね、ノブ、あんまり甘やかさないでよ?あの子、すぐに調子に乗るから』

『アハハ…1人っ子の僕としては年の離れた妹ができたみたいで面白いよ』

僕が笑うと真理子さんは

『あのねー…あの子は村でも人一ば…!!!』

突然真理子さんが急ブレーキをかけた。

前方を走る車も後続車すらない、山間の道でサーフが大きく前のめりに傾いた。その動きに比例して僕と真理子さんも前のめりになる。

『…ッはぁ、びっくりした!』

顔を上げてみると、道の真ん中に堂々とした野生の鹿が立っていた。

大きな耳先をピンッと上げて、こちらをジッと見ている。

『やぁね、本当に田舎…』

真理子さんが口をへの字の形にしながらクラクションを軽く鳴らした。

聞き慣れていないのか、その乾いた音に驚き鹿は茂みに走り去っていった。
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