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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
次の瞬間、彼女は塞がる寸前の扉へスルリと身体を滑り込ませた。

そして僕の腕の中に女性特有の柔らかな感触が当たった。

僕は下を見下ろす。先輩が僕に抱き着いていた。

"発車しまぁ~す"

アナウンスの語尾あたりで僕の顔は猛烈に熱くなった。

『これで同じ帰り道なのです』

真理子さんは僕を見上げてニヤニヤした。

不覚にも心臓はバクバク言っていた。
とんでもない速さで僕の全身へ栄養たっぷりな血液を流しこむ。
それが彼女に聞こえるのか、先輩はニヤニヤを止めようとはしなかった。
満員電車に近い中、先輩は僕にわざとらしく密着する。
高校一年から三年まで付き合った彼女以来に久しぶりに感じる柔らかい物に、僕の血流は股関へと集中的に流れる。

先輩はニヤニヤしていた。

『面白いねぇ、君は』

そう言って彼女はピッタリと僕の腕の中で収まるのだった。

………

『ははっ…懐かしいな』

僕は畦道を歩いていた。手には適当に引っ張った猫じゃらし。

それを軽く振りながら水田の中でオタマジャクシを見つけたり、ザリガニに"おーッ"と小さく声を上げていた。

真理子さんの第二印象はオッパイがでかい…そんな感じだった。

僕は畦道にしゃがみこみ、地平線の向こうにある入道雲を見詰めた。
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