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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
この人は計算なのか、それとも神経が図太いのか、単なる馬鹿なのか…仮にも先輩である松尾部長に続け様に言う。

『あなたが私を呼んだんですよね?つまりあなたに私を呼ぶ意思があった…私はあなたに呼ばれたい意思はありませーん。つまりあなたが譲ってコチラに来るのが正しい道徳的行動ではないのでしょうかー?あなたが年齢なんかで私より偉くて私を自由に出来ると思っているなら、私はそんな頭の悪い人とは話もしたくありませーんッ!』

この女は真性の馬鹿だ。

教室はクスクスという笑い声と"何あの子?""まぁた荒岩かよ?"と小さな呟きが飛び交った。

僕は真理子さんを見上げた。
真理子さんは松尾部長を真っ直ぐ見つめながらニヤニヤしていた。

松尾部長は一瞬ムッとした表情を浮かべたが、何事もなかったかのようにこちらへ近付いて来る。

僕は松尾部長が嫌いだった。
部員の女の子に声をかけては影で泣かせているのを知っているからだ。

『荒岩、帰り俺に付き合えよ』

部長が言う。

『えーッなんでですか?』

真理子さんはニヤニヤしながら続けた。

『私、忙しいです。それにあなた香水臭い』

なんて女だ。

『いいじゃんか、付き合えよ。親睦会みたいなもんだッ!』

ほら、始まった。
何が親睦会だ僕は真理子さんが彼を相手にしないだろうとわかりきっていた。
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