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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
『お前、入部してしばらく経つのにちっとも仲間に入ってこないからよ』

松尾部長はさりげなく僕をチラッと見下ろした。
そして続ける。

『次のコンクールで漫画出すんだろ?俺がアドバイスしてやるし』

真理子さんはニヤニヤし続けているだけだった。
この人は引っ張って引っ張るだけ引っ張って落とす手法を好む人種なんだ。
何度も僕はそれにのせられてはガッカリしていた。

『いいですよーッ!』

え…?

『私、前から松尾部長の漫画ジックリ見せて欲しかったんです』

真理子さんの言葉に松尾部長は嬉しそうにはにかんだ。下心を隠しながら。

『そっか、なら声かけてくれりゃあいいのに』

松尾部長は"じゃあ終わったら一階の渡り廊下でな"と言って、副部長の柳田さんに近寄った。

柳田さんも綺麗な人だった。
本当に松尾部長の趣味はわかりやすい。

『なんで断らなかったんですか?』

僕が言うと真理子さんは僕をジッと見下ろして言った。

『あら?なんで君が気にするかな?どうして?ねぇ?』

『いや…それは、先輩…知ってるでしょ?…その松尾部長の………』

『うんッ、知ってるわよ。だからって君に関係あるかな?私が彼とエッチしようが、それで傷ついて泣こうが君には関係ないよね』
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