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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
彼女はいつも僕の視界に居た。
いい意味でも悪い意味でもいつも頭の中に居た。
彼女が漫画研究部で話しかけて来なければ、もしかしたら僕は部活を途中で辞めて居たかも知れない。

僕は煙草を灰皿に押し込んだ。吸殻がシケモクの山の中で火種をくすぶっている。

僕は涙をポロポロ流しながらパタリと布団に倒れこんだ。

もう、いい。
僕はおしまいだ。
大学は辞めよう。
そして、このまま布団の中で誰にも知られず死んで行こう…。
………

僕はオタマジャクシをすくい上げた。
元気なそいつは僕の手の平の中で尾びれを動かしていた。

『オタマジャクシって可愛いんだ…』

僕はたった1人、ポツリと畦道に座りこんだまま呟いた。

オタマジャクシは丸くて小さくて元気がよくて可愛かった。
………

『………ッ!』

僕はハッとしてヤニ臭い布団から這い出した。

太陽の光が台所に面した窓ガラスから差し込んでいる。
アパートの廊下に面したその窓ガラスはギラギラと僕に光を浴びせ続けた。
眩しい。

僕は手をニュッと伸ばし、目覚まし時計を見る。
時刻は昼の1時を過ぎたあたりだった。
見事に12時間以上は寝ていた。そうして当然大学は遅刻だ。

僕は"はぁーッ"と溜め息をシミだらけの天井へ向けて吐き出した。
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