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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
そして天井を見つめながらちゃぶ台から煙草を取ろうとした。肩透かしな感触がして僕はケント1mgの箱を目の前で振った。

…空だった。

何もかもがついてない。

僕は空き箱をポイッと投げた。

今から買いに行くか…ああ、面倒だな。
全てが面倒だ。

僕は立ち上がり、眼鏡をかける。
そして洗濯なんて最後にいつしたのか不明なパーカーを羽織、適当に転がっているジーンズに足を突っ込んだ。

玄関のベニヤ板みたいなドアを開けると太陽が眩しい。

『うッ…目がいてぇ…』

僕は眼鏡をずらして目をこすり、欠伸を1つ大きくした。

『やぁやぁ、若人ッ!』

えッ?

驚いて僕は一時停止した。そして踵を使ってクルリとそのまま後ろへ回転した。

そこには先輩がニヤニヤして立っていた。

『おーおー、随分思ったよりもダメージがあったみたいだねぇ、君ってやっぱり面白いねぇ』

次の瞬間僕は先輩に全力で突進していた。
そして力の限り彼女を抱き締めた。

『ぜんぱい…ぜんぱいッ!!』

僕は真理子さんの頭に額をこすりつけながら彼女を抱き締める手に力を込めた。

『やめなさい。近所の住人が見てる』

真理子さんが言ったって僕は彼女を離さなかった。
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