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鬼ヶ瀬塚村
第11章 大学時代
真理子さんと正式に恋人として付き合い始めた最初の冬が訪れようとしていた。

真理子さんは大学内で僕と付き合っているのだと周りに意味もなく吹聴していた。

そして時々"飽きてきちゃったな"と例の松尾部長の時みたいに僕に意地悪を言った。

最初は慌てて彼女の機嫌を取ろうとあれこれしたが、結局何をしたって真理子さんは僕の隣でニヤニヤしているのだった。
言って脅かしては楽しんでいるのだ。

それを理解してからは余裕が出来、僕は真理子さんの突然な言動にも"そうなんだ"と軽く受け流せるようになっていた。

『帰ろうってば、真理子さん』

『待ってよ、いいとこなのよッ!…あーん…駄目ッ!ノブが話しかけなかったら絶対取れてたよ』

『そんなのわかんないでしょ?』

『もうやだぁッ!ノブ代わって?』

真理子さんは僕をUFOキャッチャーのボタンの前にグイッと無理矢理押した。

『どれが欲しいの?』

僕が100円玉をチャリッと投入口に滑り込ませながら聞く。

『なんでもいいの』

『えッ?』

『ほらぁ、早くしてよッ!なんでもいいからヌイグルミ取ってッ!』

相変わらずの注文だ。
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