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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
なんだか可愛いな真理子さん…そんな風に思いながら僕は笑った。

『僕は田舎を知らないで過ごした人だけど、別にそんな事で真理子さんを嫌ったりしないよ』

その通りだ。
もう何年一緒にいると思ってるんだ。
真理子さんに嫌われた事はあっても、僕が真理子さんを嫌いになんて絶対ならない。

『本当?嘘じゃないよね?』

真理子さんがこちらに視線を向けた。

左目の目蓋が三重の、その特徴的な目が僕を見つめる。心の中を探るような目の色だ。
まばたきに合わせて濃く長い睫毛が上下する。

どうしてこんなに真理子さんは不安なんだろう?

真理子さんの目を僕も同じように見つめる。
黒い光彩部分に囲まれた瞳の中になんだか曇ったモノが見えた気がして僕は咄嗟に目をそらした。

『大丈夫だよ、僕何も気にしないから』

慌てて誤魔化すように僕は告げた。

『そっか…そうよね、ノブは優しいもんね。本当に田舎だから覚悟してよ?』

一体何に覚悟がいるんだ?

害虫が家中にいるのか?

トイレがぼっとん便所?

牛を家の中で飼ってるの?

ちっとも僕は平気だよ。
真理子さんの地元がどれほど田舎でも、そんな事で僕は彼女を否定しない。

否定しないし、しようとも思えない。

むしろ嬉しい気持ちすらあるのだから。
今までは頑なに実家へ連れて行くのを拒んでいた真理子さんが僕を招待してくれてるのだ。

理由は前向きではないけれど、嬉しい気持ちは隠せない。

『真理子さん、皆さん待ってくれてるんでしょ?大丈夫だから』

『うん…じゃあ、行こっか』

ようやく落ち着いたのか真理子さんは少し照れ臭そうに笑ってアクセルを再び踏み出した。

泥を巻き上げながら大きなタイヤが唸り、重い車体を揺らしながら車は再び動き出した。

僕はチラッと真理子さんの横顔を見た。
そしてギョッとしてしまった。
暑いとは言え、仮にも東北奥地の避暑地に属した場所で先程からクーラーを切っていても全然平気なのに…真理子さんの額には汗がにじみ、前髪が張り付いていたのだ。

疲れと緊張からだろうと思い、僕はそっと真理子さんの腿に手を乗せて撫でた。

『何よノブー!くすぐったいよー』

真理子さんが笑った。
僕も笑った。

やがて道が急激な登り坂へ入った。
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