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鬼ヶ瀬塚村
第12章 達弘
達弘さんは僕の存在に気付くと重心を右足、左足と執拗に変えてモゾモゾしている。
『僕と真理子さんがお借りしている部屋に何かご用ですか?』
少し冷たく言う。
『えっど…あのよ…ぞの…』
達弘さんは細い眉をハの字型にしている。
目は不安や困惑の色が浮かんでいた。
達弘さんはヌッと顔を僕に近付けると小さな声で囁いた。
『ノブさん、時間あるがい?』
『えッ…』
達弘さんが初めて僕を名前で呼んだ。
なんだか気味が悪い。
『暇がっで訊いでんだッ…何度も言わせんじゃねぇっぺよ』
『とりあえず…そこをどいてくれませんか?中に入りたいんですよ』
『ずッ…ずまねぇッ!』
達弘さんは飛び退くように道を開け、なんとふすまを開けてくれた。いよいよ不気味だ。
彼は何を企んでいるんだ。
客室に真理子さんの姿はなかった。
ただ、Gペンがカタカタとちゃぶ台で揺れているだけだった。
真理子さんの化粧品や着替え、画材が入った大きなボストンバックの横に僕の小さなボストンバックがある。
ファスナーが少し開いて衣類が顔を出していた。
真理子さんが動かしたのだろうか。
『真理子さんは?』
『姉ぢゃんなら…ぞの…かぁぢゃんと二階で話ばしどる』
真理子さんは弘子さんに呼ばれ、もう小一時間は二階にこもっているらしかった。
『僕と真理子さんがお借りしている部屋に何かご用ですか?』
少し冷たく言う。
『えっど…あのよ…ぞの…』
達弘さんは細い眉をハの字型にしている。
目は不安や困惑の色が浮かんでいた。
達弘さんはヌッと顔を僕に近付けると小さな声で囁いた。
『ノブさん、時間あるがい?』
『えッ…』
達弘さんが初めて僕を名前で呼んだ。
なんだか気味が悪い。
『暇がっで訊いでんだッ…何度も言わせんじゃねぇっぺよ』
『とりあえず…そこをどいてくれませんか?中に入りたいんですよ』
『ずッ…ずまねぇッ!』
達弘さんは飛び退くように道を開け、なんとふすまを開けてくれた。いよいよ不気味だ。
彼は何を企んでいるんだ。
客室に真理子さんの姿はなかった。
ただ、Gペンがカタカタとちゃぶ台で揺れているだけだった。
真理子さんの化粧品や着替え、画材が入った大きなボストンバックの横に僕の小さなボストンバックがある。
ファスナーが少し開いて衣類が顔を出していた。
真理子さんが動かしたのだろうか。
『真理子さんは?』
『姉ぢゃんなら…ぞの…かぁぢゃんと二階で話ばしどる』
真理子さんは弘子さんに呼ばれ、もう小一時間は二階にこもっているらしかった。