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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
『とりあえず~わかりましたば、うじろで待ってますから気をづけて~……ガタッ…一郎みみかせけぇれぇなぁ……駄目だって…ば…ゃ………プーップーップーッ』

電話は一方的に切れてしまった。

堪えていたのが限界らしく真理子さんが大声を張り上げて笑った。

『あははッ…やだ、嘘ー……窪塚のばぁちゃんもうち来てたのぉ?…やだぁ!』

真理子さんはくっくっくっと愉快そうに笑った。

『真理子さん…僕大丈夫かな?全然わからなかったよ…何弁なの?東北っぽいと言えば東北だけど…なんだかよくわからなかったよ』

『当然よ、鬼ヶ瀬塚周辺でしか使われてない言葉だもん』

『えッ?なにそれ』

『複雑なのよ、色々とね』

真理子さんは車を停止させるとシートベルトをカチャリと外した。

『どうしたの?』

『ん、待ってて』

真理子さんはサーフから降りると、サクサクと前方に向かって歩いていった。
電話に夢中で全く気づかなかったが、目の前に横幅およそ4m、縦が2m程の木製の扉が道を隔てていた。

錆びた有刺鉄線がそこらじゅうに巻かれ、朽ちた家財道具か何かの板がぶら下がり達筆な字が書かれている。

"鬼の村"
真理子さんはその扉の真ん中に立った。
そして腰を屈めて何やら手作業しているようだ。真理子さんの丸いお尻がこちらを向いているのが小さく見える。

観音開きのその巨大な木の板は雨風に晒されてどす黒く変色していて不気味だ。何より扉上部には長さが50cmから1m程のそれぞれ不揃いの長さをした槍のような物がつき出しているのだ。

これは正真正銘に部外者の立ち入りを拒絶している村の意思表示だ。

僕は突然不安に襲われ、怖くなった。人工物なのに、言い知れぬ不気味な色をまとったその扉が恐ろしかった。

その先に何があるのか、村人が部外者に触れて欲しくはない何かが存在するのか、未知とは本当に怖い物だ。
村人も未知を怖がりバリケードを作り、僕も今心底未知を怖がっている。

その扉が開かない事を密かに願った。まるでジェットコースターが落っこちる寸前の時みたいだ。

僕の気持ちとは裏腹に、真理子さんは一度も僕に振り返る事なく扉を両手で押しやった。

僕がいる車まで重量感のある木のミシミシ鳴る音が聞こえた。

人の叫び声に似ている。

真理子さんの細い身体の先に開かれた大きな道が姿をあらわした。
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