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鬼ヶ瀬塚村
第15章 畜生道
『鬼………?』

『許してください、許しくれええぇ………』

宗二さんは崩れ落ちるように地面に額を擦りつける。

『あなたが眠っている間に東京へ運ぶよう真理子に言われました…けれど、あの子だけ不幸になるのは…私は耐えられない…妻も長年同じ気持ちだったからこそ………』

『ま…待ってください、一体何の話をして…いるんです?』

『今なら教えてあげられます。この村の秘密を…』

宗二さんは涙で濡れた睫毛を光らせながら僕を見上げた。
大の男がこんなにまでして泣く姿を僕は今まで一度も見た事がない。

鼻腔がピクピク動いていて、涙は止めどなく流れ続けていた。

『この村は…』

宗二さんが呟いた。

『鬼の村なんです。妻も、真理子も…そして私も…罪深い鬼なのです』

『え………?』

『比喩だとしても、この村は罪の塊、死者があるべき場所に帰る事のない村なのです…』

僕は宗二さんの言っている事がわからなかった。
彼は何を言っているのだろう?

『あ…あの…宗二さん…?』

『仕方がなかったんです…こんな田舎です。大昔から貧しく…金がなかったんですよ』

金…?何を言っているんだ?

『私達は…この鬼ヶ瀬塚村は…』
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