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鬼ヶ瀬塚村
第15章 畜生道
『人間を…食べるんです』

『………え?』

宗二さんが呟いた言葉は僕の脳を混乱させた。
ニンゲンヲタベル?
ニンゲンをタベル?
ニンゲンを食べる?

…人間を…食べる?

理解した。
けれど言葉を理解しただけだ。
意味が頭に入ってこない。

『もう江戸の中期からこれは今までひっそりと続いていたのです…仕方がなかった…貧しくて貧しくて…年に何十人と死んだと聞きました…大昔から…江戸時代から…彼らは食べる物に困り、金もなければ刈る稲すらなかったのです』

『あの…』

『だから、この村は鬼になるしかなかった…』

『宗二さん…』

『今は飢えから人の肉を食べたりはしません…ただ仕事でそうしているだけなんです…』

『仕事…?』

宗二さんは僕の肩を掴むと大きく頷いた。

『そうだ、仕事なんだよ信人くん。あれは仕事なんだ…』

『何を…言ってるんです?』

いまいち理解出来ない僕。
まだ意識が怠けているのか宗二さんの話に実感も感触もなかった。

『私達は…外から運びこまれる人間の死体を処理してるんだ…ずっとずっと昔から…』

『死体の処理…?』

『ああ、そうだ。死体を処理して村で隠蔽するんだ。村ぐるみでな』

『…あ、あの…隠蔽って?』
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