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鬼ヶ瀬塚村
第15章 畜生道
『警察や国からだよ』

『………』

『私達は殺人を犯してしまった人間の依頼で、死体を処理し証拠が出ないようにしている…鬼なんだよ』

宗二さんの両手にメリメリと力が入る。

『世間を見てごらんよ?毎日毎日飽きることなく人間は誰かを殺している…殺人だ。殺人を犯した人間がここへ運ぶんだよ…私達はその見返りに多額の現金を受け取っているんだ…隠れながらね』

『………あ…あの』

『わかってる、わかってるとも信人くん。私も充分わかってるんだ…』

再び宗二さんの日焼けした両頬に涙が流れていく。

『誰だって好き好んで人間を殺すはずはない…ただ、少し…そうだ…カッとなって殺してしまう事だってあるんだよ。勿論、罰せられるべき事だ…』

宗二さんの目には怒りだとか悲しみだとか不安や迷いだとか…とにかく負の色を秘めていた。

『深く愛していたり、深く信じていた人間からの突然の裏切り…怨恨殺人や人間関係のトラブルでの殺人…君は彼らの本当の言葉を耳にして、彼らを無条件で責められるかい?』

『僕は………』

胸がズキッと痛んだ。

『彼らは生きる価値があったかもしれない。けれど、深い悲しみで起こしてしまった殺人を誰が責めれる?明日には自分だって愛する妻や夫、肉親や子供、大切な仲間や友人を殺してしまうかもしれないのに…』
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