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鬼ヶ瀬塚村
第15章 畜生道
掟に従い、弘子さんに閉経が来たその日に村長を継いでいる筈だ。
僕と出会わなければ…。
『真理子さんは…どうしてそれなのに…東京へ?』
宗二さんは僕の顔をジッと見つめた。
ああ、親子だなと思った。
怒りとも悲しみとも言えないなんとも表現しづらい顔で彼は僕を見るのだ。
『信人くん、君に会う為ですよ』
『はッ?』
『君に会いたい一心で、真理子は高校を出るとすぐに大学へ行ったのですよ』
そんな馬鹿な。
どういう事だ?
『覚えていませんか?』
宗二さんは背後にある木箱の影に手を伸ばした。
そこには古びた少年ステップがあった。
彼はそのボロボロになったページを開いた。
『あ…』
僕は思わず声を上げた。
そこには僕の描いた稚拙な漫画が印刷されていたのだ。
『思い出したかな?君が高校一年生の時に描いた物だ』
忘れるはずもなかった。夏休み、夢中になって描き上げたSF物のバトル漫画だ。最優秀賞は逃したものの、わずか15歳で描いた事実を少年ステップは題材的に取り上げもてはやした。
僕には才能がある────
若い僕には充分過ぎる程の過信への材料だった。
『真理子は行商屋で私にねだってよくこれを達弘と読んでいたんだよ…懐かしいな。秘密基地で読み漁っているとしょっちゅう言ってました』
僕と出会わなければ…。
『真理子さんは…どうしてそれなのに…東京へ?』
宗二さんは僕の顔をジッと見つめた。
ああ、親子だなと思った。
怒りとも悲しみとも言えないなんとも表現しづらい顔で彼は僕を見るのだ。
『信人くん、君に会う為ですよ』
『はッ?』
『君に会いたい一心で、真理子は高校を出るとすぐに大学へ行ったのですよ』
そんな馬鹿な。
どういう事だ?
『覚えていませんか?』
宗二さんは背後にある木箱の影に手を伸ばした。
そこには古びた少年ステップがあった。
彼はそのボロボロになったページを開いた。
『あ…』
僕は思わず声を上げた。
そこには僕の描いた稚拙な漫画が印刷されていたのだ。
『思い出したかな?君が高校一年生の時に描いた物だ』
忘れるはずもなかった。夏休み、夢中になって描き上げたSF物のバトル漫画だ。最優秀賞は逃したものの、わずか15歳で描いた事実を少年ステップは題材的に取り上げもてはやした。
僕には才能がある────
若い僕には充分過ぎる程の過信への材料だった。
『真理子は行商屋で私にねだってよくこれを達弘と読んでいたんだよ…懐かしいな。秘密基地で読み漁っているとしょっちゅう言ってました』