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鬼ヶ瀬塚村
第15章 畜生道
けれど次元が違い過ぎるッ!狂っているッ!

『私もそう長くない…じきに弘子に猪神として献上されるだろう…』

藁に両手をついてゲロゲロ吐瀉物を吐く僕の耳に届く彼の声、それは幸せに満ち足りたような声色だった。

…宗二さんも殺されて、弘子さんに食べられるのか…

『信人くん…本当に許してくれ…君には選ぶ権利なんてないんだ。もうこうなってしまったからには…娘の…村長の隣にいてくれないか?』

そう懇願するその顔は…悲しみに満ちた鬼の顔だった。
鬼は泣きながら、幸せそうな声で僕に言うのだ。
あなたは一体誰なんだ?

僕が黙っていると彼は静かにこう告げた。

『もし、受け入れられないなら…私は今この場で君を殺さなくてはならない』

『……ッ!?』

鬼の顔が鬼になった。殺意を秘めた顔だ。僕は気付いた。…彼は恐らく過去に奴奴だったのだ。
そうだ言っていた、彼は確かに言っていた。

私も部外者だった────

と…。

『この事実を世間に漏れてはならないんだ。生かして帰すわけにはならない…頼む、どうかここで真理子と暮らしてくれッ!』

『こんな事…いずれバレる事でしょうッ!?殺人ですよッ!?』

鬼が僕をギロリと見つめる。

『信人くん、知っているかい?』
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