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鬼ヶ瀬塚村
第17章 神
彼らは何故奴奴になったのだろうか。
それ以外道がなかったのだろうか。
どうしようもなくなって殺したのだろうか。

どうしようもなくて…いや、違う。
宗二さんが言うように"仕方がなかった"んだ。

………

『仕方がないんだよッ!!』

僕はアパートで怒鳴った。
真理子さんは泣き崩れながら黄ばんだ猫のヌイグルミを抱いていた。

『僕にどうして欲しいんだ君はッ!?僕には漫画家の才能がある!!チャンスなんだよこれは!!』

僕は原稿を床にぶち撒けた。
バサバサと音を立てながら、原稿はジグザグと羽根のように動いて畳へ落ちてゆく。

『真理子さん、僕の夢を邪魔するのッ!?漫画家になれって言ったのは真理子さんだよねッ!?』

真理子さんは泣きじゃくりながら黙っている。

『もうたくさんだ、こんな生活ッ!煙草だってもう2年以上は止めてたじゃないかッ?それに真理子さんは吸ってて僕は駄目っておかしくないかッ!?』

僕は煙草に火を点けた。

『駄目ぇッ!』

真理子さんが僕のそれを奪い取った。

『いい加減にしろッ!出て行ってくれないかッ!?原稿を仕上げないと間に合わないんだよッ!!』

『そんなに漫画が大事なのッ!?私なんかより漫画が大事なのッ!?ねぇッ!?』

『ああ、そうだよ…』

僕は彼女から煙草を奪い返した。
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