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鬼ヶ瀬塚村
第17章 神
それを吸い込み、涙でボロボロになった彼女へ吹きかけた。

『ねぇ、私の事好きじゃないのッ!?約束したじゃないッ!?』

真理子さんは自分の胸元を何度も叩きながら訴えてくる。
甲高い声が余計に癪にくる。
我慢の限界だった。

『うるせぇなッ!!ほっといてくれよッ!!』

僕はちゃぶ台を蹴り上げた。
締め切りまで後数日だった。
僕の苛立ちは限界だった。

ちゃぶ台の上の灰皿が転がり、畳の上一面に灰と吸殻が広がった。

『どうしてよッ?ねぇ…ねぇ…ノブ…私、嫌だよッ!』

『知るかよッ!真理子さんが出て行かないなら、僕が出ていくよッ!』

僕は立ち上がった。何も言わずアパートの玄関を開けた。
履き潰したスニーカーを履く。
背後では真理子さんが号泣していた。
僕はそのままアパートの階段を降りて行った。
通りに出ても彼女の悲痛な叫びは聞こえた。けれど僕は無視して逃げ出した。

………

『ほら、あれが"しん"だ』

階段の一番上に宗二さんが立って手招いている。
一郎さんは軽く伸びをしながら"見回りさ戻りまずわ"と階段を降りていった。

僕は一歩踏み出した。

炎の熱がいよいよ感じられる。

太鼓が

囃子が

歌が

笑い声が

手拍子が

とぐろを上げて燃え盛る炎を囲って、それぞれ音の主が影を辺りの竹林へ向けている。

『さぁ、真理子の晴れ姿だ…』

僕は階段を登りきった。
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