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鬼ヶ瀬塚村
第19章 あの日
『それに確かに仕事は増えたって言っても1人じゃ不安よ、私が病気したり怪我したら誰が子供を見るの?』

『実家は…?』

終わった事でも僕は無責任な発言を平気でした。
まるでさながら当事者ではなく第三者が助言するように。

『馬鹿だなぁ、時々たまぁに帰るけど…お説教されるだけだよ。私は我が儘言ってお父さんに頼んで無理矢理東京に来たんだから…帰って来いとは言われるけど、ちょっとねぇ』

『なんで東京に来たの?』

話を反らす為に僕は卑怯にも話題を然り気無く変えた。

『秘密。いつかは教えてあげようかなって思ってたけど…今はもうどうでもよくなっちゃった』

真理子さんは欠伸しながらパタッと仰向けになった。天井を見上げながら彼女は続ける

『君が眩しくて眩しくて仕方がなかったのになぁ、どうして期待を裏切るかなぁ?本当につまらない人間になったよねぇ』

『まるで大昔から僕を知ってるような言い方だな』

『あら、ごめんなさい。でも、今の君ちっとも面白くない。私の為に一生懸命じゃないんだもん』

『真理子さんは一生懸命だったの?』

『かなりね、私なりに』

『…そうなんだ』

『結構アチコチ伏線張ってたのに、君は全く気付かなかった。気付いてないフリしてるのかと思ったわ。で、私思ったのよ』

『何を…?』

『君は絵は上手いよ、けどねストーリー展開がまるで駄目、それから伏線回収もまるでなってないわ』
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