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鬼ヶ瀬塚村
第20章 懺悔の時間
『最初の子は未熟児だったわ。黄疸が出て、やがて衰弱して死んだわ。次の子は生まれて半年で原因不明の心肺停止…』

弘子さんは目尻に小指をあてがった。

『やぁね、まだ思い出すだけで涙が出るのよ…続けても構わないかしら?』

『…はい』

弘子さんは浴衣の袖口からハンカチを出し、それを目尻に押し付けると軽く溜め息を吐いて続けた。

『やがて真理子が生まれたわ。私が31歳の時ね、今のあの子と同じ年齢…真実を理解する子と書いて真理子と名付けた彼女はたくましく育ってくれたわ。お転婆でちょっとひねくれてて…でも、あの子が1年1年安全に育つ姿がとても嬉しかった。だからかしら、とても甘やかして育ててしまったわ、わかるでしょう?あなたも随分振り回されてきた事でしょう』

『…そんな事は…』

『隠さなくてもいいのよ、そんなあなただから真理子はあなたがお気に入りなのね。あら、話がそれてしまったわね…ふふ』

弘子さんは膝の上にハンカチを置き、そこへ華奢な両手を乗せた。

『だから私と宗二さんは突然東京に行くと言い出した真理子にとても困ったのよ。村長としての教育もしてきていたし、何よりあの子が帰ってこないような気がしたから』

『………』
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