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鬼ヶ瀬塚村
第20章 懺悔の時間
『…神器の…あの…ですよね?』

『あらあら、宗二さんったらそんな所まで話したの?じゃあ説明はいらないわね、そうよ、優子を巫女にする為の儀式を姉さんの時のようにしようとしたの』

『優子は…優子ちゃんはどう考えていたんですか?』

『…あの子は…笑ってたわ。やっと大人の女の身体を手に入れられると、喜んでいた』

容易くその姿は想像出来た。
優子は…本当に何もわからない子なのだ。

『私達夫婦は話し合ったわ、夫はとても苦しんでいた…あなたから真理子を取り上げる事も、優子の身体に恐ろしい儀式を施す事も、そして…私が毒に侵される事も』

弘子さんは少しニコッと笑い、再び視線を水田に向けた。
そして月を見上げた。

『彼はあなたをここへ呼んだわ。全てを手に入れようとしたのね…新しい村長、傷のないままの優子の身体、そして毒を飲まなくて済む私…その3つの為にあなたに秘密を喋った』

『全て繋がっていたんですね…』

『そう、繋がっていた。あなたには可哀想な事をしたわ…私達村の、いえ荒岩家の我が儘であなたから自由を奪った…信人さん、あなたの人生を』

考えてみれば、大した人生でもない。
人から必要とされず、誰も僕を見てくれない。
少年時代の栄光にすがり続ける事に疲れ、望んでいない漫画を描く事に甘んじてきた僕。

とても満足いく人生とは感じていない。
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