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鬼ヶ瀬塚村
第21章 掟の教え
階段を一本づつ上がる。
骨の突き出た彼女の身体が揺れる。
揺れるたびに今すぐにでも命の灯火が消えそうなそれに、僕は再び目頭が熱くなった。
『僕のように…秘密を知って残った部外者はいるんですか?』
背中におぶさる弘子さんに聞いた。
『そうね、確かにいるわ。ちご坂はご存知かしら?』
僕は吾郎さんに教えてもらった村唯一の坂を思い出した。
『ええ、知っています』
『あの坂はね奴奴がくる為の道なのよ。決して行ってはならないわ、生きる事に迷う人の入り口なのだから。時々ね、登山客なのか迷い人なのか…自殺志願者なのかはわからないけれど、奴奴以外の人間も迷いこむ事が時折あるのよ』
『そうなんですか』
僕はゆっくり一歩づつ踏みしめるように階段を上がる。
『そんな時はみんな普通の村を装うのよ?まるで俳優や女優みたいに、紗江さんのファンなのよ、私。彼女演技がとてもうまいのよ』
息苦しそうに弘子さんは乾いた声で笑った。
『辛いですか?』
『いえ、大丈夫よ。こんな風におぶられるのも久しぶりだわ』
『…奴奴以外の人はどうなったんですか?』
『そうね、残念な事に殺された人もいたけれど…こんな世の中よ、とどまろうと思う人も中にはいたわ』
『………』
骨の突き出た彼女の身体が揺れる。
揺れるたびに今すぐにでも命の灯火が消えそうなそれに、僕は再び目頭が熱くなった。
『僕のように…秘密を知って残った部外者はいるんですか?』
背中におぶさる弘子さんに聞いた。
『そうね、確かにいるわ。ちご坂はご存知かしら?』
僕は吾郎さんに教えてもらった村唯一の坂を思い出した。
『ええ、知っています』
『あの坂はね奴奴がくる為の道なのよ。決して行ってはならないわ、生きる事に迷う人の入り口なのだから。時々ね、登山客なのか迷い人なのか…自殺志願者なのかはわからないけれど、奴奴以外の人間も迷いこむ事が時折あるのよ』
『そうなんですか』
僕はゆっくり一歩づつ踏みしめるように階段を上がる。
『そんな時はみんな普通の村を装うのよ?まるで俳優や女優みたいに、紗江さんのファンなのよ、私。彼女演技がとてもうまいのよ』
息苦しそうに弘子さんは乾いた声で笑った。
『辛いですか?』
『いえ、大丈夫よ。こんな風におぶられるのも久しぶりだわ』
『…奴奴以外の人はどうなったんですか?』
『そうね、残念な事に殺された人もいたけれど…こんな世の中よ、とどまろうと思う人も中にはいたわ』
『………』