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鬼ヶ瀬塚村
第21章 掟の教え
『さぁ、おろしてちょうだいな。真理子に怒られちゃうわ』

最上階まで残り五段程で弘子さんは呟いた。
僕は弘子さんをゆっくり下ろした。

『肩を貸してちょうだいね』

弘子さんは骨の浮き出た手を僕の左腕に寄せた。
僕は彼女の歩幅に合わせながら階段を五段上がった。

炎はいまだに燃え盛っている。
誰かの罪を消す為に骸の残骸を燃やしている。

真理子さんはまだ踊っていた。
美しい舞を白衣の袖を揺らしながら披露していた。

『綺麗でしょう?私には敵わないけど』

弘子さんは無邪気に笑って僕を見上げる。

『あの舞はね、奴奴の憎しみや悲しみや罪への意識を表しているのよ。亡骸はそれを見て自分が殺された意味を知るの…悲しい舞よね』

弘子さんは舞う娘を真っ直ぐ見つめながら言った。

『弘子ッ』

不意に声をかけられ弘子さんと僕は声のする方を見た。
宗二さんが立っていた。

『宗二さん、とんでもない事をしちゃったわね』

弘子さんは微笑みながら言った。
宗二さんはうつむき黙っていた。

『けれど、私は真理子の鬼神祭を見れてとても今幸せだわ』

『すまん、弘子…』

『いいのよ、顔を上げなさい。そして見るのよ鬼神巫女を…立派な舞だわ』

宗二さんも真理子さんを見詰めた。
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