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鬼ヶ瀬塚村
第28章 横山総合診療所
軽トラの中はヤニ臭く、そして黄ばんでいた。
足元には成人雑誌…僕の連載が掲載されている月刊ダイマジンが無造作に転がっていた。
正直見たくなかった。
ダッシュボードの上には女子高生や若い女性を中心に大変人気な女性歌手浜崎あるくのCDアルバムと倖田ミクのCDが重ねられていた。
達弘さんの趣味だろうか。
更にサイドボックスには伝説のロック歌手尾崎YUTAKAと矢沢平吉の自叙伝が…もう、もろに達弘さんの趣味なのだとよくわかる。
達弘さんは煙草をくわえるとシュボッと軽快な音を立てて火をつける。
車内は煙草特有の匂いが漂った。
達弘さんは手慣れた様子で片手運転し、もう片方の手で短く刈り上げた黒髪を整えていた。
窓から生暖かい風が入り込む。
まだどこか硫黄臭い、まだ解体作業は続いているのだろうか?
奴奴は今、どうしているのだろう?
『なぁ、せんせ?』
『あ、はいッ?』
ぼんやりと外の景色を見ていた僕に達弘さんが言う。
『診療所ばづいだら待合室で待っででぐれんが?』
『…?勿論、そのつもりでしたけど…』
『間違っでも聞ぎ耳ば立でんなよ?』
『するわけないじゃないですか?』
『だよなッ!』
達弘さんはハハッとまるで少年のような乾いた笑い声を上げて、突き出た灰皿に煙草をねじ込んだ。
足元には成人雑誌…僕の連載が掲載されている月刊ダイマジンが無造作に転がっていた。
正直見たくなかった。
ダッシュボードの上には女子高生や若い女性を中心に大変人気な女性歌手浜崎あるくのCDアルバムと倖田ミクのCDが重ねられていた。
達弘さんの趣味だろうか。
更にサイドボックスには伝説のロック歌手尾崎YUTAKAと矢沢平吉の自叙伝が…もう、もろに達弘さんの趣味なのだとよくわかる。
達弘さんは煙草をくわえるとシュボッと軽快な音を立てて火をつける。
車内は煙草特有の匂いが漂った。
達弘さんは手慣れた様子で片手運転し、もう片方の手で短く刈り上げた黒髪を整えていた。
窓から生暖かい風が入り込む。
まだどこか硫黄臭い、まだ解体作業は続いているのだろうか?
奴奴は今、どうしているのだろう?
『なぁ、せんせ?』
『あ、はいッ?』
ぼんやりと外の景色を見ていた僕に達弘さんが言う。
『診療所ばづいだら待合室で待っででぐれんが?』
『…?勿論、そのつもりでしたけど…』
『間違っでも聞ぎ耳ば立でんなよ?』
『するわけないじゃないですか?』
『だよなッ!』
達弘さんはハハッとまるで少年のような乾いた笑い声を上げて、突き出た灰皿に煙草をねじ込んだ。