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鬼ヶ瀬塚村
第28章 横山総合診療所
『どこか悪いんですか?』
僕が再び先程のように訊ねてみても彼は一向に教えようとはしない。
あまり他人のプライベートに干渉するのもよくないか…僕はそれ以上彼に追及しなかった。
『あ…そうそう』
僕は話題を変えようと、彼に和幸の話を始めた。
『和幸くん、とってもお利口さんで可愛らしいですね。顔は紗江さん似ですか?』
僕が問うと、達弘さんはしばらく無言だった。
そしてゆっくりとした動作で煙草の箱を取り、口にくわえる。
『おめもそう思うか?』
煙草の先に火をつけ、目一杯吸い込む達弘さん。
鼻の穴から煙がモクモク溢れ出ている。
『はい、知らない人間である僕にも笑顔でしたよ。ちっとも泣かずに…可愛いですね』
『………』
『真理子さんが抱っこすると眠ってしまいましたよ。大人しい良い子ですよ』
『…そうか』
達弘さんはあまり嬉しくなさそうだった。
照れ隠しなのか曖昧で意味深な笑みを浮かべているだけだ。
『まぁ、夜泣きはやがまじぃが…ええガキんぼじゃ』
ポツリと言ってそこからはやはり無言になってしまう達弘さん。
姉である真理子さんも気まぐれで今の彼のような態度をよく取るが、真理子さんのそれとは違うような気がした。
僕が再び先程のように訊ねてみても彼は一向に教えようとはしない。
あまり他人のプライベートに干渉するのもよくないか…僕はそれ以上彼に追及しなかった。
『あ…そうそう』
僕は話題を変えようと、彼に和幸の話を始めた。
『和幸くん、とってもお利口さんで可愛らしいですね。顔は紗江さん似ですか?』
僕が問うと、達弘さんはしばらく無言だった。
そしてゆっくりとした動作で煙草の箱を取り、口にくわえる。
『おめもそう思うか?』
煙草の先に火をつけ、目一杯吸い込む達弘さん。
鼻の穴から煙がモクモク溢れ出ている。
『はい、知らない人間である僕にも笑顔でしたよ。ちっとも泣かずに…可愛いですね』
『………』
『真理子さんが抱っこすると眠ってしまいましたよ。大人しい良い子ですよ』
『…そうか』
達弘さんはあまり嬉しくなさそうだった。
照れ隠しなのか曖昧で意味深な笑みを浮かべているだけだ。
『まぁ、夜泣きはやがまじぃが…ええガキんぼじゃ』
ポツリと言ってそこからはやはり無言になってしまう達弘さん。
姉である真理子さんも気まぐれで今の彼のような態度をよく取るが、真理子さんのそれとは違うような気がした。