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第4章 荒岩一族との初対面

真理子さんは普段見せない顔で動揺していた。
彼らの言葉が全くわからないが僕には真理子さんが切迫しているのがわかった。

『なで！？なで！？わじがつうをいっちゃんやお父さんに渡しただんね！？なで！？なでやぁ…！？こやっちゃ真っ白の下がばのだんこだで！？だったら！！…だったら…おめがわじらがはしにあがるどぎ…いっちゃんが…いっちゃんか優子がわじにどどがまだがれだっで……』

真理子さんは興奮しているようだった。
肩で息をし、目尻には涙が溜まっている。

『真理子さん、大丈夫？』

僕が聞いても真理子さんは興奮した状態でちゃぶ台を叩きながら一郎さんに叫んだ

『おめらなんだめどるんじゃ？こやっちゃは余白っで下がに戻すがんね！？』

その一言で居間はシーンと静まり返った。
一郎さんも難しそうな顔をしている。
少し前までニヤニヤしていた優子ちゃんもジッと無言で微動だにしない。
吾郎さんも、真理子さんと一郎さんの話に目蓋をギュッと閉じていた。
達弘さんも気まずそうに空中に視界を泳がせている。

一体彼らは何を話していたんだろうか？

『ばっかじゃねーか？』

沈黙を破って達弘さんが吐き捨てるように言った。