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鬼ヶ瀬塚村
第4章 荒岩一族との初対面

『おめぇはよぉ、よそもんだ!東京人だ!俺らがそれに合わせりゃいいっぺ』

意図的なのか無意識なのか、達弘さんは真理子さんと一郎さんとは別に鬼ヶ瀬塚の言葉を使わなかった。

刺々しい口調のまま

『おめら辛気くせぇわ、牛舎みてぇ!ばっかじゃねーの?…やってらんねぇべ、おら優子行くぞ』

達弘さんは煙草を灰皿にギュッと押し付けると立ち上がった。

『やだよぉ、ノブの東京のはなじオレ聞きてぇよ!』

優子ちゃんが拒否しても達弘さんは無理矢理優子ちゃんの腕を掴み上げ立ち上がらせた。

『おめ、典子ばっかこき使うんでねぇ!!』

『…わがっだ!わがっだがら離して!いだいッ!』

バタバタと音を立てながら達弘さんと優子ちゃんは居間を後にした。

気まずい空気の中、真理子さんは涙を中指の先でぬぐっている。

『どりあえず、おめ!』

祖父吾郎さんが僕を指差した。

『あだま怪我ほったらかしにしとけねぇっぺ?こち寄れ、こち!』

僕は沈黙の真理子さんと一郎さんに申し訳ないと思いながら吾郎さんの側に寄った。

吾郎さんは手を伸ばし、棚から薬箱を取るとパカッと開いた。
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