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鬼ヶ瀬塚村
第28章 横山総合診療所
『ほだっぺ、こげが真理子どあたいだ、真理子の卒業ん時だっぺな』
紺色のパリッとアイロンの効いたセーラー服の少女が2人並んで立っている写真だった。
校門なのか彼女ら2人の背後には"鬼神殿ノ沢高等学校卒業式"と達筆な字で白紙に書かれている。
ショートカットで白い歯を剥き出しにした少女はセーラー服のスカーフもなく、えらくミニスカートで今は珍しいルーズソックス姿だ。
京子さんだ。
隣の少女は長い黒髪で少しすました顔をして卒業証書が入った楕円の筒を手にしている。
少し生意気そうでこましゃくれた曖昧な笑みの真理子さんだ。
京子さんとは違い、紺のハイソックスに茶色いローファーを履いている。
卒業を喜びながらも、大人になる事にちょっと恥ずかしさを感じている…そんな表情だった。
『これが…真理子さん』
僕は少女の顔を指先でなぞった。
『んだよ、学校一のマドンナでよ村の連中ば赤神ばなりでぇってよ~ぐ言うでだわ』
『赤神?』
僕が顔を上げると早苗さんが慌てて駆け寄りアルバムを閉じた。
『信人さん、お茶はいかがかしら?』
取り繕うように言う早苗さん。
突然の事で口をへの字にする京子さん。
僕は2人を交互に見ながら答えた。
『あ…じゃあ…い…いただきます』
紺色のパリッとアイロンの効いたセーラー服の少女が2人並んで立っている写真だった。
校門なのか彼女ら2人の背後には"鬼神殿ノ沢高等学校卒業式"と達筆な字で白紙に書かれている。
ショートカットで白い歯を剥き出しにした少女はセーラー服のスカーフもなく、えらくミニスカートで今は珍しいルーズソックス姿だ。
京子さんだ。
隣の少女は長い黒髪で少しすました顔をして卒業証書が入った楕円の筒を手にしている。
少し生意気そうでこましゃくれた曖昧な笑みの真理子さんだ。
京子さんとは違い、紺のハイソックスに茶色いローファーを履いている。
卒業を喜びながらも、大人になる事にちょっと恥ずかしさを感じている…そんな表情だった。
『これが…真理子さん』
僕は少女の顔を指先でなぞった。
『んだよ、学校一のマドンナでよ村の連中ば赤神ばなりでぇってよ~ぐ言うでだわ』
『赤神?』
僕が顔を上げると早苗さんが慌てて駆け寄りアルバムを閉じた。
『信人さん、お茶はいかがかしら?』
取り繕うように言う早苗さん。
突然の事で口をへの字にする京子さん。
僕は2人を交互に見ながら答えた。
『あ…じゃあ…い…いただきます』