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鬼ヶ瀬塚村
第28章 横山総合診療所
『安心して、弘子ちゃんから聞いてるわ…普通の麦茶よ、よく冷えてるから飲んでね、おかわりは自由よ』

早苗さんは穏やかな笑みを浮かべながら僕によく冷えたグラスを手渡した。

『京子も一休みなさい』

サン鳥居だとかユウヒと印刷されたグラスを僕と京子さんに渡し、彼女は水滴をふんだんに浮かばせたボトルからお茶をグラスに注いでくれた。

僕がましまじとそれを穴が空くほと見つめていると早苗さんが顎に指を沿わせて上品に笑った。

『安心なさい、本当にただの麦茶よ地下数mから汲み上げた天然の水から作ったのよ。身体になんら害はないわ』

そう早苗さんに笑顔で教えられて僕は久しぶりに味のするお茶を口にした。
ほんのり苦くほんのり甘い、すっきりとしていて喉元から胃袋まで冷えるようだった。

『まだ障害はあるでしょうけど…あなたはとても若いし立派な男手になってくれると嬉しいわ』

早苗さんはニコニコと穏やかで柔らかな笑みを浮かべている。

母性愛溢れる慈愛に満ちたまさに白衣の天使の笑みだった。

『で、いづごろガキばござえんだ?』

京子さんが麦茶を飲み干し早苗さんに"母さんお変わりは!"と渡しながら僕に問う。

『え…赤ん坊ですか?』

『んだよ、もう婿どんなんだろぅ?はよぉ次の女神産まなきゃいげんば』
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